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区アートマネージメント研修に対する要望でございます。皆様方から出たいろいろな要望がございましたが、全部とりこむように考えました。したがいまして、私のお話しの中では、ここに出てくる要望につきましては、特に法律的な面を除けば、大体触れさせていただいているんじゃなかろかという気がしております。そんなことで、2番目の「アートマネージメントの歩み」はちょっとはしょってまいりたいと思います。
人類の発生とともに、このアートマネージメントというのはあると考えることができるかと思いますが、これは「祭祀共同体のアートマネージメント」で、バリ島におけるガムラン音楽とか、それからトペン劇という仮面の劇とか、それからバロンダンスという、日本で言えば獅子舞のような、もう世界最高級の芸術なんですが、それが実はバンジャールという地域の小さな共同体のお祭りの芸能なんですね。芸能という言葉を使ってはもういけないと思うんですが、芸術なんですけれどもね。そんなことで、バリ島の「バリ」という言葉にはお祭りという意味もあるそうでございまして、お祭りから生まれてきた芸術というものもある。
2番目は「生活共同体のアートマネージメント」、つまり、コミュニティーのアートマネージメントでございますが、古代ギリシャの、今から25・600百年前の円形野外劇場におけるギリシャ悲劇のコンテスト。あれなどは完全にポリスという生活共同体が生み出した高水準なアートであり、そのときのアートマネージャーというのはペーシストラトスという政治家であったわけですね。その政治家がディオニュソス大祭というお祭りの中の奉納行事として野外劇コンテストを行ったということがあるわけでございまして、そこからソフォクレスとか、エウリピデスとかアイスキュロスという人たちの名作が生まれてくるわけですね。
それから3番目は「王侯、貴族、富豪のアートマネージメント」ということで、一種のパトロン的なマネージメントでございますが、古代ローマの2000年ほど前の初代皇帝アウグストゥスの友人の大富豪であったマエケナスという人が大変な芸術の支援者であった。それがだんだんフランス語で「メセーヌ」という言葉で芸術支援の意味に使われるようになり、現代、それが「メセナ」ということで、ヨーロッパやアメリカを中心に、現在日本でも芸術文化支援活動として定着してきているわけでございます。しかし、それももとをたどっていくと、王侯、貴族、富豪の芸術支援というものに由来しているわけです。
4番目は「アーチストカンパニー(集団)のアートマネージメント」ということです。例えばシェークスピア、1564年生まれのロンドンの大天才でございますけれども、彼など

 

 

 

 

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